Folk,Blues and...

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ブリティッシュ・フォークて何?

ケルトの紋章(atアイルランド)岡さんの(あ、僕の名前です)ギターのスタイルは何でしょう?等の質問を受けた時には、「ブリティッシュ・フォーク・スタイルです」と 一応は応えることにしています。では“ブリティッシュ・フォーク”とは? となると、これを説明出来る人は少ないのではないでしょうか。「アメリカン・フォーク」に対して「ブリティッシュ・フォーク」になるのかもわかりませんが、これだと訳が今ひとつ、やはりわかりません。アメリカン・ロックに対して「ブリティッシュ・ロック」もやはりあるわけですが、ではこのふたつの違いは?となるとやはり明快に答えられる人はいないかもわかりません。がしかし似ていて非なる音楽で、無理矢理にこじつけると「英語」と「米語」の違いに近い、と思います。
言う事でここでは“ブリティッシュ・フォーク”についての僕の個人的な考えです。


ritish/ブリティッシュ」の意味は「英国の」「英国人の」の意味で、よく混同する「England/イングランド」とは“Great Britain/グレート・ブリテンからスコットランドとウエールズを除いた“英国”」の事です。ちなみに「Great Britain/グレート・ブリテン」とはイングランド(英国)、スコットランド、ウエールズ、の総称の島の名前で「グレート・ブリテン島」の意味です。なので英国嫌いのアイルランドはこのグレート・ブリデンから少し離れた島の国であります。…随分とややこしい…ですね。
グレート・ブリテン島、左にアイルランドが見えます

国、スコットランド、ウエールズそしてアイルランドの母国語は全てイングリッシュですので、この4つの国はブリティッシュ圏になります。もちろん各国独特の言語も…日本で言うところの地方言語/なまりも存在するのはおもしろいです(何が?)。にかくこの島国はヨーロッパの一部であり、現在ではドーバー海峡を地下鉄道で結ばれるようになり大陸との行き来は非常に便利にはなりましたが、その昔の中世からヨーロッパの影響は非常に少なく、この土地/国独特の長い歴史、文化が育まれ音楽においてもブリティッシュ圏独特のモノが現在も残っています。そして1400年頃〜の英国はすでに“音楽消費国”でもありました。これは“プロモーターが音楽家に作曲/演奏をお金を出して依頼し、その音楽をお金を払って一般の市民が聴きに来る…”つまり現在のライブやコンサートと同じ商売/産業がどこの国よりも早く確立し盛んでした。と言う事は、他のヨーロッパの国々より当時の音楽は一般市民に浸透していた訳で身近に音楽があったことになります。え…、少し話が横道に逸れややこしい方向に行きかけましたがここではルネサンス/バロック時代の音楽でなしに「ブリティッシュ・フォーク」に言及します。

リティッシュ・フォーク」の「ブリティッシュ」は上の意味ですが「フォーク」は、と言うと日本では辞書では「民謡」と訳されています。じゃあ、「ブリティッシュ・フォ−ク」とは「英国の民謡」になってしまうのですが、それでは「民謡」とは?と次々に“?”が出てきます。辞書で調べると「民謡とは“民衆の間に発達し、伝承されてきた素朴な歌謡”」と出ていました。確かにこれでわかったような気にはなります。が、しかし「ブリティッシュ・フォーク」には「British Trad/ブリティッシュ・トラッド」(TradはTraditional/トラディショナル)と呼ぶ音楽も存在します。このTraditionalは「伝統的な」「〜を重んじる」「伝統主義」等の意味で装飾やファッション関連にもよく使われているお馴染みの言葉です。そしてやっかいな事にもうひとつ「伝承バラッド」も「ブリティッシュ・フォーク」を語る時に出て来る…と言うか「バラッド」こそが「ブリティッシュ・フォーク」の真髄だ!となります。★「統」と「伝承」の違いは?これは案外とわかり易く「伝統」は“昔からある形をそのまま守っていく”で「伝承」は“昔から言い伝えられて来たもの”。ま、よく似たモンですが。で「バラッド/Ballads」」とは?と、また出てきた。


ふたりでお話をしているおっさんたちは「Ballads/バラッド」とは?
これは古(いにしえ)の昔(何百年前)、当時実際に起こったあるスキャンダラスな事件(殺人など)等を吟遊詩人等によって街から街へと、その事の顛末を節を付けて伝えられた“歌”です。“○○で○○と呼ぶ男が○○を殺した…”などで、この時代は中世キリスト教が権力を持っていた時代です。このことは神が存在するならば悪魔も存在し、そして地獄、天国は現実にあると信じられ深い森には妖精、魔物、魔女の存在も信じられていたわけです(今もかもわかりませんが)。なので実際に起こった事件にも多分に妖精が出てきたりオカルト的な要素が入っているバラッドもあります(有名な「スカボロ・フェア」も魔物と人間との魂をかけた戦いの唄です)。事件の当事者は一般の民衆、王侯貴族、人里離れた森の一軒家に住む狩人の一家、街に来る行商人、裕福な家庭の姉妹など様々でその事件を“物語る”つまりストーリ仕立てに内容を伝えていたわけです。もちろん節…メロディも付け歌っていたのがバラッド。もちろんこれを聴いていた人達にとってこれほどおもしろい“娯楽”はなかったなずで多くのバラッドが残っています。そしてひとつのバラッドがいろいろな人によって各地方などに伝えられて行くので内容が変ったりします。はっきりと覚えていないところは自分で創作したり、登場人物の性別が変ったり、3人姉妹の話が4人になったりと現存するバラッドにも内容が同じ亜種が多数残っています。
のバラッドのメロディはどんなものだったのか?現在のポップス等の定番であるAメロ、Bメロ〜サビ…という形ではなく、曲の中で一番の感情の起伏を表わす“サビ”と呼ぶ部分がまずありません。ですから淡々としたメロディが続きます。この理由は実際に起こった事件などを伝える、のが目的なのであくまでも歌い手は第三者の立場でいるからで、歌い手自身が歌の主人公ではないからです。ポップス等では「もっと哀しそうに感情を込めて歌う」などが大事ですがバラッドは逆に感情は抑えて淡々と歌う…つまり伝える、です。このようにバラッドとは物語のある歌です。それも元になったのは作り話でなくて何か現実に起った事件です。ただし神話やオカルト的な要素も持ち合わせた内容のもあります。これらが「伝承バラッド」と呼ぶのですが、あとひとつ「ブロードウェイ・バラッド」と呼ぶバラッドもあります。★ちらはもっと近代に作られたモノで、ある殺人事件を起した受刑者が絞首刑などの死刑になる日にその者の起した事件などを歌った内容で、今の新聞に近い商業的な唄です。「みんな聞いてくれ。今から俺が話す物語は○年○月の○日にジェッシーは同じ街に住むオミーを殺してしまった哀れな出来事なんだ・・・」等の始まりで歌い、事件の日付や登場人物の名前等も具体的に出てきます。

アイルランドの古城

リティッシュ・トラッド」の全ての音楽がバラッドばかりではありません。当時の一般民衆の人達の生きて行く糧は農耕か狩猟が主な仕事です。農民なら種植えの後に五穀豊穣を願ったり、収穫の後ではみんなで酒をのんで祝い踊ったりするのがごく一般的。この“踊り”は世界中のどの国でも、もちろん日本でも存在しています。もちろん民衆の中から生まれた踊りですので宮廷貴族のような音楽家付きで優雅なドレスを着て踊るようなものでなくもっと気楽に、そして誰でも見よう見真似で踊れる素朴な楽しくて陽気なリズムのもの。この頃の一番の娯楽は“唄う”か“踊る”の音楽が一番の楽しみだったはずです。そして音楽は世界中どの国にでもその国独自の“節回し”や“音階”が生まれ民族音階/民族音楽が存在します。★リスト教以前には「ケルト」とよばれる文明が西欧に存在していました。ただし最近はケルトの意味は英国嫌いなアイルランドが生まれる前のこの島の先住文明民族として理解されています。もちろん実在の民族でケルト王国があり、有名な「アーサー王伝説」の名前は誰でも知っているはずです。このページの最初の写真もケルトの紋章だと言われており現在のアイルランドの島中のいたる場所に見ることも出来ます。このケルト人は大変な好戦的でありながら抜きん出た文化も持っており、特に芸術、音楽においては他に類を見ないほど秀でたすばらしいもので音楽も「ケルト音楽」として世界中に愛好家がいます。ブリティッシュ・フォークにはこのケルト音楽も含まれて現在では「アイリッシュ音楽」と言えばこのケルト音楽の流れを汲むものです。★イルランド出身で世界中にファンを持つロック・グループの「U2」もケルトの音楽を取り入れているしバラッドもレパートリーに多くあり、ハード・ロックと言う言葉を生んだ「レッド・ツッペリン」もアイリッシュ・ミュージックやブリティッシュ・フォークをロックのスタイルで唄っています。もちろん純粋にオリジナルに近いケルト音楽の愛好家も多くアイルランドやイングランドのパブで今なお演奏され、踊りの為の音楽“舞曲”が盛んで楽器も下に見られる独特な組み合わせです。もちろん現在はこの楽器の中にギターも多く含まれたバンドも多く、当然の事ながらギター1本でケルト音楽(アイリッシュ・チューン)をレパートリーしているブリティッシュ・フォーク・ギタリストも数多くいます。★が愛するバート・ヤンシュ、ジョン・レンボーン、デイヴィ・グレアムでも聴く事が出来ます。特筆すべき事はアイリッシュ・チューンをギター1本のソロ・チューンとして弾く場合はその殆どがDADGAD(E弦→@弦)の“Dモダール・チューニング”で演奏されます。この特殊なチューニングはデイヴィ・グレアムが最初に考えた変則チューニングで今やポピュラーなチューニングとして定着しています。


アイリッシュ・ハープ コンサティーナ ご存知バグパイプ バウロン アイリッシュ・ティン・ホイッスル
この楽器はアイリッシュ・ハープ。小型でひとりでギターのように持ち運べ、主にバラッドなどを“物語る”のに使うようです。 これは見た目も音も演奏方法もアコーディオンを小型にしたようなコンサーティーナ ご存知バグパイプ。イングランドとスコットランドの式典では必ず見ます。 バウロンと呼ばれる打楽器でこれがないとアイリッシュ音楽には聴こえない! ティン・ホイッスルと呼ばれるホイッスルとリコーダーを足したような縦笛。
★ケルト・ミュージック/アイリッシュ・チューンには(バグパイプは入りません)あと「フィドル」は欠かせません。

、「ブリティッシュ・フォーク」とは?の明確な説明はまだ出来ていないような…。僕も音楽の評論家や音楽を正式に学んだわけではありませんので、ここで書いているのは今一度記しておきますとあくまでも僕の個人的な考えです。★のバラッドでメロディについて少し触れましたが…ポップスのように“サビ”にあたる感情を高ぶる旋律の部分がない…のと、もうひとつは現在ではほとんど聞かない“古い”音階で唄われているのが大きな特徴です。この事を少し詳しく書きますと現在のようなハ長調等のような“調”が本来はなかったのでは、と思われます。もともとが楽器の伴奏がなくア・カペラ同様に無伴奏で歌うものだったからです。それに四分の四拍子のような拍子も明確には意識していなかったと思います。と言っても楽譜には書けるので今でもいろいろなブリティシュ圏のミュージシャンによって、例えアレンジされていようと…と言うか楽器の伴奏がある場合はアレンジされていますが…演奏されています。★メリカから始まった「フォーク・ソング」のムーブメントはイギリスにも押し寄せ「フォーク・リバイバル」が起りました。フォーク・ソングそのものはアメリカが生んだ音楽ではなく、アメリカでのフォーク・ブームの元になったフォーク・ソングはもともとがブリティシュ圏/アイルランドの曲です。これはアメリカと呼ぶ国はヨーロッパや英国、アイルランドなどからの移民の国ですので、イギリスでのフォーク・ブームはアメリカからの逆輸入のような現象です。ただ、バラッド等ブリティッシュ本来のフォーク・ソング(もちろんバラッドも含む)は無伴奏がその正しい姿であってギター等をバックに唄うと眉をしかめる人が英国などでは圧倒的に多かったわけです。ようするにトラディショナル…伝統的な唄い方に固執している音楽家、歌手が多数いました。もちろんプロもアマチュアも関係なくです。★こにディヴィ・グレアム、バート・ヤンシュ、ジョン・レンボーンとその周りの仲間のミュージシャンによって“ギターを弾いて唄うフォーク/バラッド/トラッド”の形を実行し賛同するものが若間のの間から多く出てきたわけです。★してこの世界的なフォーク・ブームの時代にアメリカから音楽プロモーターが大勢の黒人ミュージシャンを引き連れ英国に音楽公演のために海を渡って来ました。その時に初めて英国の若者は生でブルースを初めて目の前で聞きすぐにハマりました。★ともと黒人の間で生まれたギター1本で歌う「カントリー・ブルース」は洋の東西を越えて熱狂的に迎えられました。★かしこのブリティッシュ圏の人種のすごいのはアメリカで生まれたブルースをそのまま受け入れるのでなく「ブリティッシュ・ブルース」とアレンジをして自分達の音楽にしてしまう事です。これはアメリカ生まれのブルースの音以外の昔からブリティッシュ圏で使われている音階を組入れていることです。★れとケルト・ミュージックにある"唄のない楽器だけの演奏曲/舞曲…ダンス・チューン”もブルースなどと同じように自分達のレパートリーに取り入れています。この事がギターの器楽曲、つまりフォンガー・ピッキング奏法でのインスト・チューンに結びつきストーリーを物語るバラッドやアイリッシュ・チューンでのダンス・チューン、そしてブルース等も取り入れその独特な「ブリティッシュ・フォーク」と呼ぶジャンルが出来ました(なんとか結びつけた…かな)。

ドミナント・モーション こからは少し音楽的に突っ込んだ事を書きますがそんなに難しくありません。★「ミナント・モーション」と言う言葉を…音楽用語です…初めて聞いた方でも普通に耳にする音楽では誰でも馴染みのある音楽のひとつのパターンです。例えばギターやピアノを弾く方ならAm(Aマイナー)と呼ぶコードは知っていると思います。別にAmでなくてもAでもいいのですがここでは一応Amで進めます。ある曲で最後にこのAmで終わる曲があるとします。たいがいこのマイナーのコードでその曲が終わると何か哀しい気持ちで唄い終わるですが、その最後にAmで曲が終わる前に多くはE7のコードがくるはずです。つまりE7→Amのコード進行です。この時のE7を「ドミナント・7th」と呼び次にAmに進行するのを“ドミナント・モーション”と呼びます。この2つのコード進行をよく聞くとE7を弾くとなぜかAmを弾きたい、Amに行きたい…という感覚が起ります。その原因はE7はミ・ソ#・シ・レの音で構成された和音/コードでこの中のソ#は半音上の次のラに、シはやはり半音上のドに行きたい響きを持ち、ソ#→ラ、シ→ドのラとドは次のAmの構成がラ・ド・ミなのでAmに行きたい!と聞こえるのです。これがドミナント・モーションと名付けられ音楽では定番のコード進行になります。普段聞いているいろいろな音楽、J-POP、演歌、フォークでも普通にこのコード進行が使われています。もちろん必ずE7→Amではなく、またAmがAの場合もあり、C7→F(またはFm)、B7→Em(またはE)などです。この定番のドミナント・モーションであるE7→AmをEm→Amにするとどうでしょうか?Emの構成されている音は先のE7のソ#がソに変るだけです。ではソ#はラにいきたい響きはあるのですがソは?これだとラに行きたい響きは感じられません。ソ→ラの間は全音離れていますがソ#→ラは半音の音程ですので、このような響きが起るのです。だからEm→Amはシがドに行きたいという1つしかドミナント・モーションの響きが感じられないので大変弱いのです。でも決して音楽的に間違いではないし、おかしくはありません。★のような進行がブリティツシュ・フォークの特徴でもあります。例えば英国の古い曲で有名な「グリーン・スリーヴス」もEm→Amで、もしアメリカ人の作曲ならE7を使うとまず思います。★トーリーを持つバラッドで「オミー・ワイズ」と呼ぶ曲があり、この曲をアメリカではドグ・ワトソンと英国のバート・ヤンシュがそれぞれアルバムに収録されていますが、やはりこの曲の最後はドグ・ワトソンはE7→Amですが、バート・ヤンシュはG→Amです。もちろん同じメロディです。バートの使うGコードはソ・シ・レの音の構成を持ち先のE7のミ・ソ#・シ・レとEmのミ・ソ・シとよく比べると似ているのがわかるでしょうか。そうです、E7もしくはEmの代理コードになるのです。この米と英を代表するような2人の音楽性の違いがアメリカンとブリティッシュの違いに表れているように思います。ブリティッシュ、ばんざい!
(しかし僕の書く文章て箇条書きになってしまうぜ)

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